TEDx公式スピーカーとして英語で登壇しました!
【イベント概要】
・TEDxKatano
・開催日:2024年9月1日
・URL: https://www.ted.com/tedx/events/59226
【トークテーマ】
「一日一生」〜 一日一日を一生として生きる〜
“One Day, One Life” Live each day as a lifetime
スピーチの概要
私がTEDxでお伝えした「一日一生(Oneday,Onelife)」という言葉は、日々を人生最後の日のように完全燃焼するための考え方です。かつて数字を追い求め、健康も人間関係も崩壊寸前だった私ですが、恩師から学んだ五つの在り方を実践するなかで、“今ここ”を全力で生きることにつながっていきました。
流産や死産、そして難病を抱える娘たちとの体験を通じ、人は、どんな困難も、お互いに支え合うことで乗り越えられると実感しています。
この考え方は仕事にも応用でき、信頼関係と成果につながりました。“一日一生”が世界中に広がることが、周り人々の平和の起因になることを願っています。
スピーチの和訳
「一日一生。」
これは僕が日々、人生最後の日かのように命を完全燃焼させるために大切にしている言葉だ。
僕の名前は周平。日本語で、「周-shu」は「周り-around」、「平-hei」は「平和-peace」。両親から常に「周りを平和にできる人になりなさい」と言われ育ってきた。
その想いを胸に、現在は東洋哲学を用いた教育実践家として活動している。
そんな僕には、強い原動力がある。
それが、愛する妻と5人の娘たちの存在だ。
2016年3月24日。僕の家族に4番目の娘すみれが生まれてきてくれた。
しかし、彼女は脊髄性筋萎縮症1型という、脊髄の細胞に異常が生じ、筋力の低下と筋肉の萎縮が生じる難病を抱えていたのだ。
人工呼吸器をつけなければ命が持たない状態で頻繁に痰が詰まり、全身真っ白になって何度も集中治療室(NICU)に運ばれた。
その後生まれてきた5女もまた、同じ脊髄性筋萎縮症1型を持っていた。
「もうダメかもしれない…」
難病と共に生きる娘たち2人と共に死生観と毎日向き合っていたが、奇跡が起きた。
寝たきりだった4女は親指が動くようになり、親指を使ってデジタルアートを描き、数々の名誉ある賞をとったり、デザインをしたTシャツを販売したりもしている。
5女は首が座るようになって立ち上がり、歩き出すようになった。
すみれが生まれる前の僕は「一日一生」をやりきっていなかった。
仕事に熱中するあまり、家族のことも、自分のことも大切に出来ていなかった僕は、
ようやく本来の自分を取り戻した。
「やっと、人間になれたね」 妻は、僕にこう言ってくれた。
僕たちが普段当たり前だと思っていることは全て奇跡の連続だということを知った。
今日が最後の日だとしたら…。
だから僕は、「一日一生」という言葉を大切にして生きることに決めた。
「一日一生」とは、日本語で「(いちじついっしょう)」と読み、「一日を一生のように大切に生きる」という意味だ。
それは、天台宗の仏教僧、酒井雄哉大阿闍梨の言葉として有名だ。
また、日本の明治時代の代表的なキリスト教徒である内村鑑三も、「一日一生」という言葉を自身の著作で用いていた。
このことから、古くから仏教にもキリスト教にも通ずる教えだったと捉えられる。
「一日一生」は「今ここ」(Here and Now)という2500年続くブッダ(釈迦、仏教の開祖)の教えに通ずるものがある。
ラテン語で「here and now」は「hic et nunc」と表現される。
「hic et nunc」は、この瞬間における存在の重要性や、現在という時間において自己を見つめ直すことの意味を深める言葉として使われてきた。
過去も未来もアンコントローラブルであり、「今ここ」(Here and Now)だけが唯一コントローラブルだ。
過去にとらわれず、未来に不安をおぼえず、「今ここ」にエネルギーを集中させ、完全燃焼する。毎日が新たな人生であるかのように、その日その日を全力で生きることができるんだ。
では、どうすれば一日一生で生きられるようになるのか。
それは、人としての正しい行いや振る舞い、考え方など、人が常に守るべき「在り方」を大切にすることだ。
それは、僕の人生を変えてくれた大切な師匠から教わった。
師匠から授かった在り方は、この4つ。
- 目の前の人を大切にし、守る。見返りを求めず、自分の持っているリソースをまず提供する。
- 自分や他人との約束を守る。今、自分に与えられたものに一所懸命になり全力を尽くす。
- 誰に対しても礼儀正しく話す。本当の気持ちをお互いに共有する。
- 常に謙虚であり、全ての人や物事から自発的に継続して学ぶ。
師匠に授かったこの東洋哲学に基づく4つの在り方を大切にすることで、自分の人生を一日一日大切に生きられるようになる。そして周りの信頼を得られ、お金、人脈も愛情もチャンスも、二次的に引き寄せられるんだ。
僕はこれらの在り方を大切にし、家族に仕え、守り、慈しむという生き方を貫いてきた。
さて、この考え方は仕事にも活かすことができる。それは経営者や組織のリーダーとしての在り方の基本となるんだ。
例えば、僕が主要株主である会社では人としての正しい行いや振る舞い、考え方を追求し、「一日一生」を大切にすることで成長してきた。
その結果、社内外共に良い関係性が構築でき、顧客は増え続け、2012年の創業から売上が上がり続けている。
これまで約12年間で累計20,000人にこの教えを伝えてきた。
さいごに。
私たちができること。それは今、生かされている命に感謝し、一日一日を精一杯生きること。今生かされていることは奇跡であり、この命を完全燃焼することの大切さを家族から学んだ。
今日が人生で最後の日であるかのように。一日を、そして人生をやりきろう。
私が家族の存在に支えられたように、人はどんな状況であっても、支え合って生きていくことで、大きな困難を乗り越えられる。そう信じている。
一日一生で生きていく人が増えると、優しい人がもっと増えるはずだから。
ありがとう。